アートっぽさが地域とひとをつないでいく。「アートっぽい写真展」に込めた思い

STAFFBLOG

「日常にアートを。そこで生まれたクリエイティブが間接的に街をつくるのだから」

柳田國男さんによって提唱された「ハレとケ」。時間論をともなう日本人の伝統的な世界観のひとつです。ハレとはお祭りやイベント、ケとは普段の暮らしを示します。ハレのきっかけを、アートでつくりたい。そう願うひとも少なくはありません。

福祉や教育について、そして地域に活力を生み出す原動力として期待されているアートは、沖縄でも「イチハナリアート」や「やんばるアートフェスティバル」といった芸術祭として、多数開催されています。

ただ、「そもそも、アートとはなんだろう?」って定義がむずかしいですよね。そのむずかしさから思考に蓋をするのも人間らしさとはいえますが。

5月5日(土)と6日(日)に、おきなわダイアログで開催する「アートっぽい写真展」は、広義なアートを楽しんでもらおうと、みなみの家さん(沖縄移住ライフハック)山口賢太さん(デザイナー)山口郁子さん(主婦フォトグラファー)suzさん(福祉系OL)によって企画がスタートしました。

今回、企画者の一人である山口郁子さんに、なぜ開催しようと思ったのか、お話しを聞いてきました。

「アートや写真に対する敷居を下げたい」 アーティストでなくてもできること

「日曜日しゃしんかん」の様子

ーーメディア運営やデザイナー、写真好きOLさんと他のアートイベントでは見られない、個性豊かなひとたちで開催するのですね。その背景から聞きたいです。

山口:いままで、おきなわダイアログで「木曜しゃしんてん」や「日曜しゃしんかん」という写真をテーマに企画を考えてきました。ただ、過去にアートを関連付けたイベントを写真好きのメンバーで立ち上げたときもそうで、多くのひとがはじめて来てくださっても、敷居の高さを感じていました。

だから、まず写真そのものの敷居を下げるために、日曜しゃしんかんを継続して開催しました。写真家やフォトグラファーなど、写真撮影を本業にするひとたち以外にも遊びに、写真を自分ごととして楽しんでくれたことを覚えています。コワーキングスペースという、属性を縛らないスペースだからこそ、おきなわダイアログにいらっしゃったひとたちとマッチしていたと思う。

だから、次はと思い、芸術家ではないわたしたちがアートの敷居を下げるために、アートっぽいという切り口で展示を行おうと思ったんです。

ーーだから、写真展名を「アートっぽい」に。これまで企画をつくってきたからこそ、アイデアが生まれたのですか?

山口:いえいえ。おきなわダイアログにそういったひとたちがもっと混じってほしい、余白をつくろう、と。写真を身近に感じてほしいから単に撮って終わりではなくて、一緒に参加してくれたひとたち同士が写真を見せあうことで、新たな価値観に出会えると感じています。

たとえば、緑ヶ丘公園まで散歩しながら参加者とゲストで一緒に撮影したり、モデルの大城優紀さんやキジムナーを交えて撮影会を行う「Photo Session」を取り組んできました。共通の話題をきっかけに友達をつくる以外にも、何かしら知見を得る体験に、価値がつくられると思います。友達の概念をこえて、数珠つなぎに広がっていく。それほど、自分にプラスになること、価値って大きいと信じています。

多角的な視点でつくる「アートっぽさ」


ーー今回、一緒に開催するメンバーに対して期待値があがっていますが、大丈夫ですか。

山口:大丈夫です(笑) わたしからみて尊敬するひとたちばかりなんです。みなみの家さんは、「沖縄移住ライフハック」という地域メディアを運営していて、考え方がロジカルに乗っとり、メディアをつくられているんです。写真展の準備においてもそうですね。みなみの家さんなりのロジックにたって、計画をつくってくれました。だから、当日の作品にも、みなみの家さんのこうした良さが生かされるのはではないかと思っています。

山口賢太さんは尊敬の一言に尽きますね。彼は、一本筋を通っているので、作品づくりは妥協を許さないんです、旦那にこういうのもあれですけど(笑) いま、納得がいくまで撮影しているので、カメラなどのツールが増えていくばかりです。ただ、これだと決めたら、当日までに仕上げてくれるので、そこは彼のこだわりを信じたい。わたしもまだ作品は見ていないのですが。

suzさんとは、彼女が展示している写真展にお邪魔したときに、「次はこんな紙で、こういう印刷をしたいんです」と相談をもらいました。本人曰く、写真は趣味といいながら、すごく貪欲に写真を飾ることに真剣に考えてくれているんです。あと、アートっぽい考え方を持っているので、Instagramもみてほしい。

地域とのつながりをきっかけに、コミュニケーションを価値へと転換させる

ーーアートイベントとは一線を画す作品が並びそうですね。写真展に来てくれたひとに対しては、どんなことを楽しんでもらいたいですか。

山口:わたしのなかで「アートっぽい写真展」って、コミュニケーションを軸に考えています。たとえば、3月25日に開催した「Photo Session vol.4 アートを探すゆるぶら散歩」の参加者たちの作品を展示したり、デザイナー同士がポートフォリオを通してコミュニケーションができる「Design Picnic 〜孤高のデザイナー交流会」、あと作品を通したワークショップを企画します。写真の枠組みをこえたコミュニケーションが生まれる、それを価値にしたい。

そうすることで、友達は自然にできているだろうし、ここで出会ったひとたちと作品を楽しんでもらうことで、きっとコミュニケーションが生み出されると思う。わたしたちも期待以上のものを提供できるんじゃないかとワクワクしています。

ーー山口さんが思う「価値」について、どう考えていますか。

山口:地域とのつながりですね。5月1日に開催する「Photo Session vol.05 〜星空案内人と行く、夜空セッション」もそうで、ただ上手に星を撮影するだけのイベントではなく、沖縄に住む星空案内人というプロをお呼びして、この時期にしか見ることのできないサザンクロスを知る機会にしたいですね。その地域だからこそ、見える星座を感じながら撮影を楽しめる、沖縄だからこそ実現できると思います。

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