「課題先進県の沖縄から、課題解決のスタンダードを」 産学連携でスマートで創造的な空間をつくる ーAlpaca.Lab 棚原生磨

REPORT

「沖縄から世界へ」

そんな心を惹きつける言葉たちが沖縄で踊っています。

貧困問題や飲酒運転、エネルギー資源、人材育成…数え切れない課題に直面する沖縄では、ここ数年で新たなビジネスを立ちあげ、社会の問題に正面から立ち向かう、スタートアップの育成・支援に力を入れはじめています。

そのなかで、「産学連携」をキーワードに取り組む、「株式会社Alpaca.Lab」とその思いに共感するステークホルダーたち。

日々どんなことを想い、どんな感覚をもって、Alpaca.Labの願い「課題先進県の沖縄から 課題解決のスタンダードを」について体現しようとしているのか。代表取締役棚原生磨が、これまでの起業に至るところから振りかえります。

「行動しないと何も変わらない」世界何十億人いるうちの一人で終わらないために

「子どもの頃、アメリカで家族と過ごしたことがあって、自分の存在について考えることがあったんですよね」

生まれの沖縄を14歳で家族といっしょに離れ、多感な日々をアメリカで過ごした棚原は、世界は広いな、日本は狭いな、という強烈な原体験を持ちます。

沖縄とは異なる文化。そこで感じたのは、数十億人のうち一人でしかない存在、そして行動をしなければ何も変わらない。現地でのひととの出会いや思考の違いから、未来のなりたい自分が形成されていったのです。

「約1年間、アメリカに住み、沖縄に帰ってきたからには、とにかく面白いサービスを沖縄でつくりたい意欲があって。だから、大学ではWebサービスの制作を学ぼうと専修大学に入りました。そこで、デザイン思考の考えかたを知り、デザインそのものをロジカルに学ぶための過程が大きな転機となりました。

それまでは、Webサービスを考えているのに、イラストさえも作れない私にはデザインの能力がない。周りには、才能あふれるひとがいて、コンプレックスを抱えていて。でも、体系的にデザインを学ぶことで思考から理解していき、優秀な人材ってこうした体験をしているんだと気づきました。

だから、ひとの学びや創造性ってこんなにも面白いものなんだ、と。そして、どうやってひとは学ぶのか、研究してみたいと思えたんです」

「自分の無力さ」と「身体の不調」を乗り越えて。その先にみえてきた沖縄に続く道のり


専修大学から早稲田大学、そしてJAIST(北陸先端科学技術大学院大学)とナレッジサイエンスの研究をしたい一心で転学し、社会人になっても研究を続けたい。そう考え、教育とモノづくりができる企業へ入りますが、新たな壁にぶつかります。

「モノづくり主体の代表の考えに共感して入った会社では、入ってすぐに経営方針ががらりと変わり、モノを売る営業主体になって。

だから、教育現場への営業コンサルティングを行っていくうちに、必ずしも現場で必要とされるものと売りたいものとは一致しないことが多いな、と。そこで、私なりの理想と現実とのギャップが生じて、徐々にその歪みが大きくなって、体調へと影響してしまったんです」

さて、どうしたものか。そう棚原が考えたときに思いついたのは自転車で沖縄へ目指すこと。頭をからっぽにして、汗をかいて、努力したら着く、シンプルで単純な目標設定を立てて、成功体験を得たかったと苦しい時期を振りかえります。

「自転車での旅で出会ったひとたちや、沖縄へ到着した達成感によって、もやもやしていたストレスが解消されて。エネルギーにあふれた元の自分に戻っていました。今思えば、荒治療法だったなと思っていますが笑

これまで、積み重ねてきた自信を取り戻してきたし、せっかく沖縄に戻ってきたなら、もう一度大学研究に関わる仕事をしたいなという思いはありました。そこから運良く、公益財団法人沖縄科学技術振興センターへ務めることに。そこで、産学連携事業の担当させてもらったことが、Alpaca.Labの大きなテーマになるとは思っていませんでした」

民間と公共を繋ぐ担い手からみえた「自分なりのポジション」

棚原にとって、産学連携とはなにか。過去にさかのぼり、JAISTで見つけた自分なりの目指すべきポジションと産学連携が一致していきます。

「JAISTでプロジェクトをつくってきた経験から僕が研究者の役割として、創造性を発揮することもいいのですが、それよりも自分がつくったフィールドにひとが集まって、より創造的な空間で、あたらしいものが生みだすほうが楽しくて。

産学連携ってまさにこれで。知識の宝箱のような大学の先生と、あたらしい事業をつくりたい企業との間に私が入ることで、あたらしい可能性を生み出すような関係性。まさに、三方よしの連携を生み出すことが、沖縄の課題解決の糸口になるのではないかと思っているんです」

ひとえに、産学連携の仕事といっても行政側としてできること、できないことがあります。仕事に楽しみを覚えつつも、30歳の区切りを迎えた棚原は、叶えたい未来のため、リスクを負ってでも何かをやってみよう。そう思うようになっていくのです。

「僕にとって何かするとは、人類を一歩前に進めること。覚悟をもって仕組みをつくっていこう、と。まず、思考実験としてプロダクトを捉え、事業計画に落とし込んできました。

そのなかで、運転代行プラットフォームサービスの開発に注目していて。市場が大きくて、沖縄の社会課題を解決できるし。さらにいうと、僕みたいに何かやりたいと心で願っているひとたちが集まれるフィールドをつくっていけるのではないかと思っていたんです」

沖縄が「課題解決のスタンダード」であるために 産学連携から新たな産業をつくるまで


Alpaca.Labの創設(2018年1月6日)からはじまり、琉球大学と全国運転代行協会から協力を得ながら、沖縄県振興開発金融公庫(平成30年12月)の資金調達を終えました。

加えて、ベンチャーキャピタルサミット2018でのNICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)賞を受賞、オキナワ・スタートアップ・プログラム支援の1社に選ばれるなど、沖縄のスタートアップとして期待してもらうまでに成長しています。

ベンチャーキャピタルサミット2018で、NICT賞を受賞

「僕らは、特定の分野のプロフェッショナルだ、と自負があります。なぜなら、チームワークが目標ではなく、一人ひとりのプロシェッショナルから生まれてくるチーム、スタンドアローンコンプレックスがあってこそ。つまり、個のカルチャーといえますね。

だから、組織の強みはスタートアップであってもひとつの事業にとどまらず、何者でもなれるし、だれがきても受け入れられる器があります。それぞれの自己実現や叶えたい夢をAlpaca.Labをつかって成し遂げるために。僕は僕なりにひとが育つ、教育の研究こそが人生で成し遂げたいテーマなんです」

ここまでで読んでくれたひとで、なぜAlpaca.Labのメンバーたちが沖縄で課題解決を取り組もうとしているのか、と疑問を感じているひとがいるのではないでしょうか

美しい海、空、自然。温暖な気候で過ごせる沖縄にも、日本中で課題とされる問題に直面してきて、だからこそ沖縄で成功するビジネスモデルをつくって日本、海外へ展開する、そんな新たなロールモデルこそが、沖縄での可能性を広げていくと考えているからです。

「沖縄は、とくに地場産業が盛んで、そこにテクノロジーが組み合わせることで、第2第3の産業が生まれるんじゃないか、と期待していて。とはいえ、民間で開発した技術だけでは社会的な課題、例えば運転代行プラットホームを通して飲酒運転への撲滅や、運転手たちの賃金格差からくる貧困問題のような、社会的課題を解消できない。

産学連携を中心にした事業を行うことで、行政や大学とも協力しながら社会的な摩擦を産みづらいサービスを創出でき、次なる沖縄の課題、具体的にいうと僕は自然エネルギーへとチャレンジしていきたい。そんな場を、Alpaca.Labならばできる、誰もが夢のままで終わらせない、創造性ある取り組みこそを、今の沖縄では必要なのです」

株式会社Alpaca.Labでは、全方位の職種で一緒に働く仲間を募集しています

Alpaca.Labのコアメンバーとして創業期の立ち上げで一緒に働いてみたい、ご興味があるひと。沖縄や日本各地の運転代行業の方々、さらに警察や行政にお勤めの皆様。そして、運転代行プラットフォームサービスに関して取材したいメディアや投資家の皆様。

Alpaca.Labや代表・棚原から、事業を聞いてみたいひとは対話しましょう。

Alpaca.Lab :Webサイト