「動くわたし、動かないわたしー移動とまちづくりー」あなたは20年後の今日、どんな場所で何をしてる?

REPORT

ひとと場がお互いに作用し合いながら「動ける」をつくっていくトレンド

久高:最近、隣の宮平とよくキャンプをしているのですが。その中で、キャンプからアウトドアのレジャーという枠を外すと、ひとつの仮設空間であり動く場作りだという認識ができまして。このアウトドアのひとつにとらわれないキャンプというものは大きく探求や発展しがいのある可能性があるのではないかと色々画策しているところです。

もともと大学では建築、都市計画研究室の出身だったのですが、動く場づくりというものは今後の自動運転車普及なども考えると、今回の題にあるまちづくりと強く関連するのではないかと思い、今回ここに座っています。

そんなわたしからは、その動く側の人が居つく、使う箱や、その人らが集う場のありかたについて、いくつかの事例紹介を通じてお伝えできればと思います。

– 「動く人らの箱とその拠り所の場」の事例ら

まず動くといえば、モンゴルには伝統的な「遊牧⺠」といわれるひとたちがいます よね。遊牧⺠のなかには、いまやバイクを利用しながら、酪農で羊ややぎ と一緒に生活しながら点々と移動していくひともいる。移動先にて、他の遊牧⺠ と出会ったらお互いの家畜を交換して生活しているんです。原始的ではあるも のの、ひとの生活のベースに動くことがあって。現代でいうと、アウトドアのレ ジャー「キャンプ」も近いものがありますよね。

たとえば、新潟県にあるキャンプメーカーのスノーピークでは、建築家の 隈研吾さんとコラボしたモバイルハウス「住箱」を発表しまして、運搬を含める と約 300 万円。割と高価ではあるけど、個人事業主の方がオフィスとして使いたいという声もあるようです。
続いて、中国の北京市では「tricyle house (トリサイクルハウス)」という事例があ ります。北京は急速に発展してきて、超高層の住宅街が立ち並び、若者が一人暮 らしで住むなんてとてもできない。そこに暮らすためには、シェアハウスで、か つ一部屋に 5、6 人で住まないといけないほど。こうした過密したなかで、建築家集団が自転車を使ったトリサイクルハウスをはじめたんです。自転車の後ろにあ る荷台を使って、シャワーを浴びられるような空間などを作って。これからの暮 らしにおける、ひとつの実験となっているんです。

これは先月トヨタが発表した車「e-Palette」で、運転席やハ ンドルもなく、車輪がついた動く部屋のような、自動運転式の電気自動車を、今月にあった世界家電見本市CESで発表しています。これまで のお話は建築という住まい側からの動く人への提案というものでしたが、こちらは自動車会社からの提案です。トヨタは今後車会社でなくモビリティ 会社としてやっていくぞという表明をし、またオリンピックに向けてもこの実証実験が開始していくようで、日本発で世界を相手にするトヨタもこういうことをやっていくんだという事例です 。

受け皿の場所の話へ移ると、「Sweden on Airbnb」 というスウェーデンとエアビ ーアンドビーがコラボし、国 土全部民泊しちゃってキャンプしちゃってどこ 使ってもいいよ!っていうキャンペーン。もとも とスウェーデンっていう 自然享受権ってい うどこでも国土内 自然をつかっていいです よっていう権利があってそれにのっとって エアビがコラボしているという取り組みもあります。

また、キャンピングカーのひとたちは、たとえば「道の駅」に泊まって、備え付けられたトイレや水場を借りなが ら、次の道の駅などへと転々として生活をしています。他にも、軽トラックの荷台に木のフレームや断熱材を用い1-2人用の部屋、「モバイルハウス」をつくること、また日本各地で増えつつある空き家などを活用し、そこで電気や水といったインフラを整えていき、そのモバイルハウスで動くひとた ちの集いの場を作っていこうという事例もありますね。
やっぱり水回りは動く人たちの生活にとっては場に頼らなければいけないところがあるんですけれど、オフグリッドの観点から、移動式のシャワールームを つくり、フィルターで濾過することによって50回以上繰り返しで使えるって いうようなものを研究開発している「WOTA」という会社もあったり。

場所によらずに自分の行きたいところにいって生活したいっていうひとたちが、 これらのような流れをもとに、基盤整備をするひとはして、動く人は動く人なり に自分の好きな家、またそれが動ける環境っていうのをつくり、そういった動き がお互いに作用し合いながら、より「動きやすい」社会へと進んでいっているようなトレンドもあったりします、というのが僕からの現状共有になります。

>>ページ4宮平未来「開かれた場が野外にあるからこそ生まれる「予定不調和」な交流」

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